医療療養病棟
療養病棟とは
医療法において、病院の病床種別は5分類(一般病床・療養病床・精神病床・感染症病床・結核病床)に整備されております。
主に急性期の疾患を扱う一般病床に対し、慢性期の疾患を扱う病床が療養病床であり、急性期医療の後の慢性期医療を担う病床の種別を療養病床と言います。
「療養病床」は、医療保険が適用される医療保険型療養病床(医療療養病棟)と、介護保険が適用される介護保険型療養病床(介護療養病棟)に分れられます。
医療療養病棟の特徴
医療療養病棟は、急性期医療の治療を終えても、引き続き医療提供の必要度が高く、病院での療養が継続的に必要な患者さまを対象にご利用頂く病棟です。
このような慢性期の患者さまに対し、厚生労働省の定めた規定に従い、医療の必要度に応じた医療区分およびADL自立度(日常生活自立度)の視点から考えられたADL区分による包括評価をする事となっております。医療療養病棟は、主に医療区分2~3などの医療必要度の高い患者さまを担当することが期待されている病棟であり、医療区分1の患者さまは、介護療養病棟や老人保健施設などの介護施設が担当する傾向にあります。
●医療区分表
医療区分3 |
|
---|---|
疾患・状態 |
スモン、医師及び看護師による24時間体制での監視・管理を要する状態 |
医療処置 |
中心静脈栄養、24時間持続点滴、人工呼吸器使用、ドレーン法、胸腹腔洗浄、 |
医療区分2 |
|
疾患・状態 |
筋ジストロフィー、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病関連疾患、 |
医療処置 |
透析、発熱又は嘔吐を伴う場合の経管栄養、喀痰吸引、気管切開、気管内挿管のケア |
医療区分1 |
|
医療区分 2 ・ 3 に該当しない者 |
●ADL得点の算出方法と区分
|
自立 |
準備 |
観察 |
部分的 |
広範な |
最大の |
全面 |
本動作 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ベッド上の可動性 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
移乗 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
食事 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
トイレの使用 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
※合計のADL得点による区分
ADL 0 ~10点 | → | ADL区分1 |
ADL 11~22点 | → | ADL区分2 |
ADL 23~24点 | → | ADL区分3 |
●包括評価
ADL区分 3 |
入院基本料 G |
入院基本料 D |
入院基本料 A |
---|---|---|---|
ADL区分 2 |
入院基本料 H |
入院基本料 E |
入院基本料 B |
ADL区分 1 |
入院基本料 I |
入院基本料 F |
入院基本料 C |
|
医療区分 1 |
医療区分 2 |
医療区分 3 |
●2022年度実績
2022年度 当院の医療療養病棟に入院された患者さまの医療区分とADL区分の割合
病棟スタッフ
当院の医療療養病棟では、比較的に医療提供が必要な医療区分2~3の方を対象に対応しており、急性期病院での治療を完了した患者様で、自宅療養を行うにはご本人及びご家族共に不安を抱えていらっしゃる長期療養を必要とする患者さんに対して、医療・看護・介護・リハビリなどを行っております。
医師・看護師・医療ソーシャルワーカー・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・医療相談員などが、チームを組んでお世話いたします。
【3病棟の目標】
- 事故防止・感染予防に努め、患者様の安全・安楽を第一に、やさしく思いやりのあるケアを実施します
- 看護実践能力の向上に努めます
・看護研究に取り組み、エビデンスに基づく看護ケアが展開できるよう努めます
・記録の充実を図ります
・自ら研修に参加し、知識の向上を図り、スキルアップをめざします - 情報を共有し、『報告・連絡・相談』を密にし、サービス向上を図り、チーム医療の向上に努めます
医療療養病棟の入院料のご案内
1.入院基本料について
医療療養病棟では、患者様の医療必要度に応じて入院基本料が定められております。
また、医療費の自己負担については、患者様の負担割合や所得状況によって1ヶ月あたりの負担上限額が定められております。
【65歳以上で自己負担割合1割の場合】
医療区分 |
1日につき |
1ヶ月あたりの自己負担 |
||
---|---|---|---|---|
一般 |
低所得Ⅱ |
低所得Ⅰ |
||
入院基本料A |
1,798点 |
55,740円 |
24,600円 |
15,000円 |
入院基本料B |
1,744点 |
54,060円 |
24,600円 |
15,000円 |
入院基本料C |
1,457点 |
45,170円 |
24,600円 |
15,000円 |
入院基本料D |
1,399点 |
43,370円 |
24,600円 |
15,000円 |
入院基本料E |
1,372点 |
42,530円 |
24,600円 |
15,000円 |
入院基本料F |
1,217点 |
37,730円 |
24,600円 |
15,000円 |
入院基本料G |
953点 |
29,540円 |
24,600円 |
15,000円 |
入院基本料H |
905点 |
28,060円 |
24,600円 |
15,000円 |
入院基本料I |
801点 |
24,830円 |
24,600円 |
15,000円 |
※一般患者の1月あたりの自己負担上限額は57,600円
低所得者Ⅱの1月あたりの自己負担上限額は24,600円
低所得者Ⅰの1月あたりの自己負担上限額は15,000円
2.食事療養費・生活療養費について
医療療養病棟では、食事療養費・生活療養費についても入院基本料と同様、患者様の医療必要度に応じて1食あたりの標準負担額が定められております。
また、患者様の所得状況によって標準負担額が減額されます。
【食事療養標準負担額(64歳以下と65歳以上で医療必要度の高い方)】
所得区分 |
1日(3食)あたり |
1月あたり |
---|---|---|
一般 |
1,380円 |
42,780円 |
低所得Ⅱ(90日以内) |
630円 |
19,530円 |
低所得Ⅱ(90日超) |
480円 |
14,880円 |
低所得Ⅰ |
300円 |
9,300円 |
【生活療養標準負担額(65歳以上で医療必要度の低い方)】
所得区分 |
食なし |
1日(3食)あたり |
1月あたり |
---|---|---|---|
一般 |
370円 |
1,750円 |
54,250円 |
低所得Ⅱ |
1,000円 |
31,000円 |
|
低所得Ⅰ② |
760円 |
23,560円 |
|
低所得Ⅰ① |
0円 |
300円 |
9,300円 |
※低所得Ⅱは非課税世帯
低所得Ⅰ②は年金受給額80万以下等
低所得Ⅰ①は老齢福祉年金受給者
厚生労働省の規定により、65歳以上で医療区分1の患者さまは、食費が多くなり、居住費が自己負担となります。
(※医療費自己負担額が所得と病状により段階的に減額されます)
医療相談室のご案内
当院では医療相談室を設けており、入院される患者様に対して、専門の医療ソーシャルワーカーが個別に担当いたします。入院中や退院後の生活の不安や問題に対して、患者様やご家族と話し合い、さまざまな制度の活用や、他の専門職と連携を取りながら、より安心して治療・療養できるよう支援しますので、お気楽にご相談ください。